健康
木のテーブルに置かれた、コーヒーの入った白いマグカップ
Foods to Avoid健康コラム

犬がコーヒーやお茶を舐めたらカフェインが危ない理由と、すぐにすること

Osanpo編集部公開 2026.09.14更新 2026.09.29
★ 保存版読了 6分

コーヒーやお茶は、毎日テーブルの上にあるもの。ちょっと席を立ったすきに、カップに残ったカフェオレを舐めていた——そんな事故は、どの家でも起こりえます。

ぶどう、キシリトール、玉ねぎ、チョコレート、アボカドと続けてきたこのシリーズ、6つめはコーヒーとお茶です。チョコレートの記事で「コーヒーも同じ系統の成分で危険」と書いた、そのカフェインの話です。

もう舐めてしまった、という方は、先に4章「舐めた・飲んでしまったら」を読んでください。

🔬 なぜ危険なのか⁠—⁠—人より敏感で、症状が早く出る

カフェインは、脳や心臓を刺激する成分です。体のなかの「休め」という合図を受け取る場所をふさいでしまうので、神経が興奮する、脈が速くなる、おしっこが増える、といったことが起こります。

そして犬は、人よりカフェインに敏感です。そのうえ体重あたりで考えると、60kgの人と5kgの犬が同じひと口を飲めば、体重あたりの量は12倍。人には何ともない量でも、犬には症状の出る量になってしまいます。

しかもカフェインは、胃腸からすばやく吸収されて全身に行きわたります。チョコレートの中毒が数時間遅れて出るのに比べて、症状が出はじめるのが早いのが特徴です。

ベランダの低い丸テーブルに緑のマグカップとコーヒーポット。その横で飼い主に撫でられる犬
同じテーブルで過ごしていても、同じひと口の重さは人と犬でまったく違います

⚖️ どのくらいで危険?⁠—⁠—「何を」⁠飲んだかで変わる

先に結論から書きます。カフェインに「これ以下なら安全」と言い切れるラインは示されていません。そのうえで、報告されている数字を見ていきます。体重1kgあたり約20mgで、吐く・下痢などの軽い症状が出始めます。チョコレートの記事で紹介したのと同じ目安で、カフェインとテオブロミンは合わせて数えます。

そして、この量に届くまでの早さは、飲みものの種類で大きく変わります。同じ「お茶」でも、玉露はせん茶の8倍です。

飲みもの / カフェインの目安

せん茶・ほうじ茶・ウーロン茶
100mlあたり約20mg
紅茶
100mlあたり約30mg
インスタントコーヒー
100mlあたり約57mg
コーヒー
100mlあたり約60mg(せん茶の3倍)
玉露
100mlあたり約160mg(コーヒーの約2.7倍)
エナジードリンク・眠気覚まし飲料
1本あたり約36〜150mg(製品で大きく違う)
抹茶(粉)
1gあたり約32mg(1杯分の1.5gで約48mg)

体重5kgの子の場合、症状が出始める量は約100mgです。玉露なら約60mlでこの量になります。エナジードリンクは、製品によっては1本飲むだけでこの量を超えます。

木のテーブルの上の、木のコースターにのせた白い湯のみのせん茶と、奥の白い急須
お茶にもカフェインは入っています。玉露は100mlあたり約160mgで、コーヒーの約2.7倍です

ただしこれは「ここまでは安全」という線ではありません。獣医学の教科書にも、カフェインへの感じやすさには個体差があると書かれています。体の小さい子、年をとった子、腎臓に持病のある子ほど、重くなりやすいとされています。だからこそ、量にかかわらず、あげない・届く場所に置かないを守ってあげてください。

⏱️ 症状とタイムライン⁠—⁠—1〜2時間以内に出ることが多い

チョコレートの症状は多くが6〜12時間以内に出ますが、カフェインは多くの場合1〜2時間以内に出はじめます。

クリームをのせたラテをスプーンですくう人の手元を、じっと見つめるビーグル
ミルクたっぷりのラテでも、カフェインは元のコーヒーのぶん入っています

タイミング / 起こること

多くは1〜2時間以内
そわそわ落ち着かない、うろうろ歩き回る・鳴く、吐く・下痢、ハアハアする、水をたくさん飲む、おしっこが増える
重い場合
脈が速い・乱れる、ふるえ、けいれん
どのくらい続くか
数日続くことがある

「なんだか今日は落ち着かない」「ハアハアが止まらない」と感じたら、テーブルの上のカップや、ごみ箱のコーヒーかすを確かめてみてください。

🏥 舐めた・飲んでしまったら

結論から書きます。症状が出るのを待たず、すぐ動物病院に電話してください。夜間なら夜間救急に電話してください。

⚠ 自宅で吐かせる方法(塩を飲ませる、など)は絶対にやらないでください。塩や塩水は塩中毒を起こす危険が高く、吐かせる目的で使ってはいけません。吐かせる処置が必要かどうかも含めて、動物病院で判断してもらえます。

病院では、体に吸収される前に取り除く処置と、症状を抑える治療が中心になります。軽ければその日のうちに、重ければ数日の入院になることもあります。

電話の前に、次の3つをメモしておくと診察がスムーズです。

メモすること / 例

何を
「ブラックコーヒー」「玉露」「エナジードリンク」など。缶やパッケージが残っていれば持って行く
どのくらい
「マグの底に残っていた分」「缶の半分」など、分かる範囲で
いつ
「10分前」「出かける前に置いたままだった」など

☕ 見落としがちな「カフェインが入っているもの」

ガラスの保存びんに入った挽いたコーヒーの粉と、白い計量スプーン
コーヒーの粉や、淹れたあとのかすにもカフェインは残っています

カフェインは、コーヒーカップの中だけにあるわけではありません。飲みもの以外にも、身近なところに入っています。

図解「実はこんなところにもカフェイン」:飲み残しのコーヒー/コーヒー豆・かす/緑茶・抹茶/エナジードリンク・コーラ/眠気防止薬・風邪薬/コーヒー味のお菓子の6つ。いずれも赤いバツ印つき

もの / 注意ポイント

飲み残しのコーヒー・カフェオレ・コーヒー牛乳
ミルクで薄まって見えても、カフェインは元のコーヒーのぶん入っている
コーヒー豆・粉・使ったあとのかす
淹れたあとのかすにもカフェインが残っている
緑茶・紅茶のティーバッグ(お茶パック)・茶葉
茶葉1gに約15〜35mg。熱いお湯で1回淹れても4割近くが残るので、使ったあとのティーバッグや茶殻にも入っている
抹茶アイス・抹茶ラテ・抹茶のお菓子
抹茶の粉は1gあたり約32mg。お菓子や飲みものの形でも、中身はカフェイン
お茶漬け
市販のお茶漬けの素には抹茶入りのものがあり、お茶をかければそのお茶のカフェインも加わる。塩分も多い
エナジードリンク
1本で36〜150mgと、製品による差が大きい
コーラ
500mlのボトル1本で約65mg
カフェイン錠(眠気防止薬)
1〜2錠で、小型犬の命に関わることがある
市販の風邪薬・頭痛薬の一部
カフェインを含む製品がある。箱の成分表示で確かめられる
コーヒーゼリー・コーヒー味のアイス・チョコがけのコーヒー豆
お菓子の形でも中身はカフェイン。コーヒーゼリーはコーヒーから作るので、カフェインが入っている。チョコがけならテオブロミンも加わる

🏠 事故を防ぐには

カフェインの事故は、飲んでいる途中で席を立ったときに起こりやすいもの。防ぎ方は、毎日の置き方の習慣です。

  • 飲みかけのカップをローテーブルやソファの脇に置いたまま離れない。立つときは持って行くか、犬の届かない高さに置く
  • 缶やペットボトルは、飲み終えたらすぐ片づける
  • コーヒーのかす・茶葉・ティーバッグはフタつきのごみ箱に捨てる
  • 眠気防止薬や風邪薬は、バッグの中や机の上ではなく扉の閉まる場所にしまう
  • 家族や来客にも「コーヒーとお茶はダメ」を共有しておく
新聞を読む飼い主の横で、朝食のテーブルに前足をかけてお皿に顔を寄せる白い長毛の犬
目を離しているあいだに、テーブルの上には前足と鼻先が届きます

💬 よくある質問

Qカップに残っていたコーヒーをひと舐めしただけです。病院に行くべきですか?

自分で「これくらいなら大丈夫」と決めずに、動物病院に電話で相談してください。危なさは、飲んだものの種類と量、そしてその子の体重で大きく変わります。とくに玉露やエナジードリンク、カフェイン錠は、少しの量でもカフェインが多く入っています。電話では、何を・どのくらい・いつ飲んだかを伝えてください。

Qコーヒー牛乳やカフェオレなら、ミルクで薄まっているから大丈夫?

大丈夫とは言えません。市販のコーヒー牛乳やカフェオレは、製品によってカフェインの量が大きく違い、ブラックコーヒー(100mlあたり約60mg)より多く入っているものもあります。見た目では分かりません。飲んでしまったら、パッケージを手元に置いて、何を・どのくらい・いつ飲んだかを動物病院に電話で伝えてください。

Qコーヒーフレッシュ(コーヒー用ミルク)だけを舐めました。

コーヒーフレッシュの原材料は植物油脂や乳製品などで、コーヒーや茶葉は入っていません。ただ、脂肪が多く、犬は乳製品でお腹をこわしやすいので、あえてあげる理由はありません。吐く、下痢をするなどの様子が気になるときは、動物病院に相談してください。コーヒーに入れたあとのものを舐めたなら、コーヒーを舐めたのと同じです。自分で判断せずに、何を・どのくらい・いつ舐めたかを動物病院に電話で伝えてください。

Qカフェインレス(デカフェ)のコーヒーなら大丈夫?

カフェインレスのコーヒーも、カフェインがゼロになっているわけではありません。アメリカの獣医薬剤師の団体がまとめた資料でも、デカフェは危険な量の一覧に含まれています。カフェオレならミルクや砂糖も入っていて、お腹をこわすもとになります。あえてあげる理由はありません。

Q麦茶のような「ノンカフェイン」のお茶ならいい?

麦茶の原料は茶葉ではなく大麦なので、麦茶そのものにはカフェインは含まれていません。ただ、「麦茶」と名前がついていても、番茶などの茶葉をブレンドした商品があります。色がよく似たほうじ茶も茶葉から作られていて、カフェインが入っています。パッケージの原材料に「緑茶」「番茶」「ほうじ茶」などが入っていないか、確かめてみてください。とはいえ、犬の水分補給は、ふだんの新鮮なお水でじゅうぶんとれます。わざわざお茶を用意しなくても大丈夫です。

Q猫も危険ですか?

危険です。猫も犬と同じように人よりカフェインに敏感で、カフェイン錠1〜2錠で命を落とすことがあります。犬と猫、どちらのいる家庭でも「届く場所に置かない」は共通です。

📌 まとめ

  • カフェインは脳と心臓を刺激する成分。犬は人よりカフェインに敏感で、人には何ともない量でも症状の出る量になる
  • 体重1kgあたり約20mgで軽い症状。「これ以下なら安全」と言い切れるラインは示されていない
  • 玉露はコーヒーの約2.7倍。エナジードリンクは製品によっては1本で、体重5kgの子に症状が出始める量(約100mg)を超える
  • 症状は多くの場合1〜2時間以内に出て、数日続くこともある。落ち着きがない、吐く、ハアハアするなどの様子に気づいたらカップやかすを確かめる
  • 舐めた・飲んでしまったら、症状を待たずにすぐ動物病院へ電話する。何を・どのくらい・いつをメモし、缶やパッケージを持って行く。自宅で吐かせるのは絶対NG
  • コーヒーかす・茶葉・眠気防止薬・風邪薬にもカフェインは入っている。防ぐのは毎日の置き方の習慣

同じ系統の成分を含むチョコレートについては、こちらにまとめています。

重なって置かれた、割られたミルクチョコレートの板
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📚 出典・参考

この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。誤食のときは、この記事に戻るより先に動物病院へ連絡してください。

Osanpo編集部の犬、源
著者
Osanpo編集部
相棒は源(ボストンテリア・8歳)
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