
散歩に行けない日の過ごし方おうち遊び・カート・ノーズワーク
猛暑、雨、体調、予定——犬と暮らしていると、今日は散歩に行けないという日が必ずありますよね。
我が家には8歳のボストンテリア・源(げん)がいます。今年の夏、源は毎日は散歩に行けていません。暑さに弱い短頭種で、早朝に連れ出しても玄関から動かず、歩けた日は帰るとハカハカと息を切らしていたからです。
そこで我が家がやってみたのが、歩く以外の時間のつくり方です。家の中のおもちゃ遊び、カートだけのおでかけ、そしてノーズワーク。うまくいったものも、盛大に失敗したものもありました。

🩺 「行かない日」があってもいい
散歩に行けない日が続いて、気になっていたのが体重でした。「最近ぜんぜんお散歩に行けていなくて……」と動物病院で打ち明けたとき、先生の答えはこうでした。
「無理に今の季節は散歩に行かなくていいですよ」
正直、ほっとしました。
イギリスで90万頭以上の犬のカルテを調べた研究では、熱中症のきっかけの4分の3が運動——そのほとんどが、いつもの散歩でした。暑い時期に無理をするリスクのほうが大きい、というのは、数字の面でも裏づけがあります。
もちろん、これは源の犬種・年齢・体質をふまえて先生が言ってくださったことで、すべての子に当てはまる話ではありません。答えは、その子ごとに違います。気になったら、かかりつけの先生に「今の季節、うちの子はどうしたらいいですか」と聞いてみてください。
そのうえで——歩かない日でも、犬は退屈します。ここからが本題です。

🧸 家の中でのおもちゃ遊び
いちばん手軽で、いちばん喜んでくれたのがこれでした。

源は、家の中のおもちゃ遊びだと全力で走り回る子です。ボールを投げれば、何度でも駆けていきます。エアコンの効いた部屋なら暑さの心配もなく、思いきり体を動かせます。
外では歩きたがらないのに、家では走る。この差を見て、「体力がないわけでも、動くのが嫌いなわけでもないんだな」と分かったのも収穫でした。
走り回るなら、足元も整えてあげたい
ひとつ気をつけたいのが、床です。家の中で思いきり遊ぶということは、フローリングの上でダッシュやターンを繰り返すということでもあります。ツルツルした床は踏ん張りがきかず、腰や関節に負担がかかりやすいと言われています。

私の実家は、もともとふつうのフローリングでした。リフォームの際に犬用の滑りにくいフローリングに変えたのですが、それでも走るとまだ滑ってしまって。最終的には、部屋一面にラグを敷いたり、畳の部屋で遊ばせたりすることで、体に負担をかけない環境をつくっています。
床材ごと変えるのは大がかりですが、走り回るスペースにラグやマットを敷くだけなら、今日からできます。おもちゃ遊びを思いきり楽しんでもらうために、足元もいっしょに整えてあげてください。
🛒 カートだけの「ドライブ散歩」
夏に取り入れてよかったのが、歩かせずに、カートに乗せて外に出るだけの時間です。
夕方でも地面はまだ熱いので、歩かせるのは避けたい。でも家にこもりきりも退屈そう。そこで、タオルで包んだ保冷剤を下に仕込んだカートに乗せて、外の空気を吸いに出るようにしました。

運動にはなりません。それでも、外の景色とにおいを浴びているあいだ、源は気分転換になっていそうでした。「散歩=歩くこと」だと思い込んでいましたが、そうでもないのかもしれません。
雨上がりの涼しい夜など、歩けそうな日は、カートを連れて出て「疲れたら乗せる」という使い方もしています。

🔎 試してみた:ノーズワーク
SNSで見かけて気になっていたのがノーズワーク——犬が鼻を使って、隠されたおやつを探す遊びです。

SNSで探してみると、難しさの違う2つのやり方が見つかりました。
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5鼻を近づければ、においが届きやすい。はじめての子はここから
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4結び目をほどかないと出てこないぶん、探しごたえあり
1日5分で、犬は前向きになる
「◯分のノーズワークは散歩◯分ぶん」という言い方も見かけますが、その換算のもとになった研究は、調べた範囲では見つけられませんでした。なのでこの記事では、時間の置きかえには触れないでおきます。
その代わり、嗅がせること自体の効果は、きちんと研究されていました。
犬20頭を2つのグループに分け、1日1回・約5分の遊びを2週間続けた実験があります。片方のグループは箱に隠したおやつを探すノーズワーク、もう片方は飼い主のそばを歩く練習(脚側行進)。2週間後、ノーズワークをした犬たちだけが、あいまいな状況に対して前向きに——「良いことがあるかも」と期待して行動するように変化しました。
この研究のうまいところは、比較の相手も「飼い主と過ごす同じ長さの時間」だったことです。だから「かまってもらえたから嬉しかった」では説明がつきません。嗅ぐという行為そのものが、犬の気持ちを前向きにしていたと言えます。
必要なのは1日5分。外に出られない日に、これはありがたい数字です。
やってみたら、こうなりました
さっそく、タオルにいつものフードを包んで結んで(レベル2)、源に渡してみました。
結果は——タオルを振り回してガジガジする遊びになりました。(笑)
鼻を使って中のフードを探す、という展開にはならず、タオルそのものがおもちゃに。
しかも、いちばん笑ってしまったのはこのあとです。ガジガジしているうちにタオルがほどけて、中のフードが出てきました。それでも源は見向きもせず、タオルで遊び続けました。

最後はタオルをすっぽりかぶって、ごきげんでした。楽しそうではあったのですが、ノーズワークとは言えない結果になりました。

なぜうまくいかなかったのか
ここで大事なのは、源はフードを見つけられなかったわけではないということです。目の前に出てきたのに、選ばなかった。つまり難しすぎたのではなく、中身に興味がなかったのです。
気になって、さきほどの研究をもう一度読み返してみました。すると、実験に参加した飼い主への指示に、こう書かれていました。
飼い主は「価値の高い(high-value)」食べもの——その子のいちばん好きなおやつ——を持参するよう求められた
なるほど、と思いました。うちが使ったのは、いつものドライフードです。源にとって、いつものフードはタオルというおもちゃに勝てなかった。うまくいかなかったというより、条件が足りていなかったのだと思います。
次は、とっておきのおやつで試してみるつもりです。それでもおもちゃに向かってしまうなら、それがその子の好みなのだと思います。遊びの好みは、犬によってまったく違う——今回いちばん実感したのは、そこでした。
はじめるときの注意
- 布をかじって飲み込んでしまう子には向きません。これは実感しました。うちのように振り回してガジガジする子もいるので、必ずそばで見ていて、終わったら片付けてください
- 使うのは、その子の好物。いつものフードだと、そもそも興味が向かないことがあります(うちがそうでした)
- まずはレベル1から。結ぶレベル2は、結び目をほどかないと出てこないぶん難易度が高めです。慣れてきたら上げていくのがおすすめ
- 難しすぎると諦めてしまうので、最初は隠さずに見せるところから
- 早食いの子は、ゆっくり食べる練習にもなります
💬 よくある質問
その子の犬種・年齢・体質によって答えが変わるので、一律の日数はありません。我が家は暑さに弱い短頭種のため、かかりつけの先生から「無理に今の季節は散歩に行かなくていい」と言われました。気になるときは、かかりつけの動物病院に「今の季節、うちの子はどうしたらいいですか」と聞いてみてください。
おもちゃ遊びで走り回れる子なら、体を動かす時間としては十分にとれます。ただ、ノーズワークのような嗅ぐ遊びは気持ちを満たすもので、運動量の代わりにはなりません。体重が気になるときは、遊びに使うおやつやフードをその日の食事から取り分けて、食べる量が増えないようにしてください。
その子がいちばん好きなおやつを使ってください。研究でも「価値の高い食べもの」を持参するよう指示されていました。我が家はいつものドライフードで試したところ、タオルで遊ぶほうが楽しくなってしまい、うまくいきませんでした。
「行かない」という選択が難しいので、行かないのではなく行き方を調整するほうを考えてみてください。時間帯を涼しい時間にずらす、地面の熱さを手の甲で確かめる、短い時間で切り上げる、といった工夫があります。くわしくは「犬の夏のおでかけ暑さ対策」にまとめています。
🐾 まとめ
散歩に行けない日にできることを、3つ試してみました。
家の中でのおもちゃ遊び◎
全力で走り回る。エアコンの効いた部屋なので暑さの心配もなし
カートだけのドライブ散歩○
運動にはならないが、外の空気とにおいで気分転換になっていそう
ノーズワーク(レベル2)△
タオルがおもちゃになって失敗。次はとっておきのおやつで再挑戦
歩けない日でも、退屈させない方法はあります。そして、うちの子に合う方法は、試してみないと分かりません。我が家はノーズワークで見事に外しましたが、そのおかげで「源はフードよりおもちゃが好き」とはっきり分かりました。それはそれで、収穫だったと思っています。

📚 出典・参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。散歩の量や頻度、体重の増減が気になるときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。
- Duranton C, Horowitz A.「Let me sniff! Nosework induces positive judgment bias in pet dogs」Applied Animal Behaviour Science. 2019;211:61-66.
- Hall EJ, Carter AJ, O'Neill DG.「Dogs Don't Die Just in Hot Cars—Exertional Heat-Related Illness (Heatstroke) Is a Greater Threat to UK Dogs」Animals (Basel). 2020;10(8):1324.
