
犬に 梨を あげても 大丈夫?1日 何切れまで? 芯・ 種の 取り方と、 洋なしの 注意点
幸水、豊水、そして秋が深まるとラ・フランス。みずみずしい梨は、家族みんなで囲みたい秋のおやつですね。同じ秋の果物でもぶどうは絶対NGですが、梨はどうでしょうか。
芯・種・皮を取った実を少しだけなら、犬は梨を食べても大丈夫です。1 日の上限は体重5kgで、8 つに切ったくし形の 2〜3 切れです。ただ、いきなり上限まではあげず、初めての日はひと切れから試すのがおすすめです。
🍐 犬は 梨を 食べても 大丈夫?
梨の実は、犬にとって毒になる食べものとはされていません。
アメリカの動物中毒センターや獣医師向けの医学書を探した範囲でも、梨は危険な食べものとして載っていませんでした。梨の実は 100 g のうち 88 g が水分で、カロリーは 38 kcal。水分の多い、軽いおやつです。
ただ、梨にはお腹をゆるくする成分(ソルビトール)が入っています。あげるのは「少しだけ」にしてください。
⚖️ 梨は 1日どの くらい? 体重別の 量
初めての日は、ひと切れで様子を見るといいでしょう。慣れてからの上限は、体重で決まります。おやつは「1日に必要なカロリーの10%まで」が獣医師の団体の目安なので、それを梨の量に直したのが次の表です(8 等分のくし形 1 切れ 約 30 g で計算)。

3 kg
- 梨(実だけ)
- 50〜63 g
- 1日の上限
- 約 2 切れ
5 kg
- 梨(実だけ)
- 74〜92 g
- 1日の上限
- 2〜3 切れ
8 kg
- 梨(実だけ)
- 105〜131 g
- 1日の上限
- 3〜4 切れ
10 kg
- 梨(実だけ)
- 124〜155 g
- 1日の上限
- 4〜5 切れ
15 kg
- 梨(実だけ)
- 168〜211 g
- 1日の上限
- 5〜7 切れ
20 kg
- 梨(実だけ)
- 208〜261 g
- 1日の上限
- 7〜8 切れ
30 kg
- 梨(実だけ)
- 284〜354 g
- 1日の上限
- 9〜11 切れ
これはその日のおやつ全部の上限です。ジャーキーやボーロもあげる日は、そのぶん梨を減らしてください。
幅は、活動量など犬ごとの違いによるものです。シニアや体重が気になる子は、小さいほうに合わせると安心です。表は幸水くらいの梨で数えています。豊水のようにひと回り大きい梨は 1 切れも大きくなるので、そのぶん少なめにしてください。持病のある子は、5章を先に読んでください。
🔪 梨の あげ方 (皮・芯・種)
- 芯と種を取る… いちばん大事なところです。芯は固く、丸ごと飲み込むと詰まります
- 皮をむく… 固くて消化されにくい部分です
- 小さく切る… 丸のみしない大きさに切ってあげましょう。子犬やシニアの子には、すりおろしてもかまいません

加熱は要りません。生のままで大丈夫です。
🍂 洋なし・ 梨の 缶詰・ ジュースは あげていい?

- 洋なし(ラ・フランス)… あげられますが、日本なしより少なめにするといいでしょう。お腹をゆるくする成分が約2倍入っています
- 缶詰… 避けてください。シロップ漬けで、生の梨の2倍のカロリーがあります
- ジュース… 果汁 100% なら、少しはあげられます。ただ食物繊維がほとんどないので、ふだんは生の実のほうがおすすめです
🩺 持病の ある 子に 梨を あげても いい?
療法食を食べている子や、持病で食事を管理している子は、梨をあげる前にかかりつけの先生に相談してください。
- 糖尿病… 梨は 100 g に糖が約 8 g 入っています。食事の量と中身をそろえて管理している子は、おやつを足すとそのバランスが変わります
- 腎臓病… 腎臓病の食事で柱になるのは、リンを抑えることです(腎臓病の獣医師の国際グループの指針)。梨のリンは 100 g に 11 mg と少なめですが、療法食はリンなどの量を調整して作られているので、ほかの食べものを足すと、そのバランスがくずれてしまいます
- 結石… アメリカの獣医師の学会の尿石症の指針が、シュウ酸カルシウム結石の再発予防に挙げているのは、水分を多くとって尿を薄くすることなどで、梨のような特定の食べものを避けるようには書いていません。ただ、結石の治療で療法食を食べている子は、ほかの食べものを足すと療法食のバランスがくずれてしまいます
- お腹が弱い子… 梨にはお腹をゆるくする成分(ソルビトール)が入っています。お腹をこわしやすい子や、胃腸の療法食を食べている子は、ひと切れまでにして様子を見てください
体に負担がかかるおそれがあるなら、あげないのがいちばんです。どうしても分けてあげたいときは、「梨を何切れくらい、週に何回あげたいか」を先生に伝えて相談すると、判断してもらいやすくなります。
🏥 梨を 芯ごと 食べた・ 食べ過ぎたら
芯ごとかじった、大きなかたまりを丸のみした、体の小さい子が食べた——このどれかなら、元気に見えてもまず動物病院に電話してください。芯が詰まっていないかは、外からは分かりません。
2章の表の上限を大きく超えた(小型犬が 1 個まるごと食べたなど)、どのくらい食べたか分からないときは、元気に見えても動物病院に電話して、食べた量と体重を伝えて指示をもらってください。
2章の表の上限を少し超えたくらいなら、お腹がゆるくなることがあるので、元気と食欲があるか、その日と翌日の便はどうかを見ておいてください。次のサインが出たら、動物病院に電話してください。
サイン / どう見えるか
- 吐く
- 何度も吐く。水も吐くなら急ぎ
- 食べない・元気がない
- いつもの食事に寄ってこない、ぐったりしている
- お腹を痛がる
- 触られるのを嫌がる、背中を丸める
- 便の様子がおかしい
- 下痢が翌日も続く、または数日出ない
ほかの果物も気になる方へ。りんごも、芯と種に気をつければ、少しなら一緒に楽しめます。

💬 よく ある 質問
梨の種には青酸配糖体という成分がありますが、1個分の種(10粒ほど)で中毒になる量ではありません。心配なのは、芯ごと飲み込んだときの詰まりです。芯ごと、体の小さい子、吐く・食べない・元気がない、のどれかがあれば、まず動物病院に電話してください。
毒はありませんが、固くて消化されにくいので、むいてからあげるほうがいいですね。食品成分表でも、梨の皮と芯は食べない部分として扱われています。
「未熟な梨には毒がある」という話を見かけますが、農林水産省などが種の毒に気をつける果物として挙げているのはビワ・アンズ・ウメ・モモなどで、梨は入っていません。ただ、固い実は丸のみしやすく、傷んだ実はお腹をこわすので、散歩中や果樹園で落ちている梨は口にさせないようにしてください。
重さで考えれば、品種による違いはありません。ただ、表の切れ数は幸水(300 g前後)くらいの梨で数えています。豊水(400 g程度)のようにひと回り大きい梨は1切れも大きくなるので、そのぶん切れ数を少なめにしてください。
梨には水分と、便をゆるくするソルビトールが入っていて、量が多いとお腹がゆるくなる子がいます。1回だけの軟便で、元気も食欲もあるなら、梨をやめて様子を見てみてください。翌日も続く、嘔吐がある、ぐったりしている、芯ごと食べた可能性がある——このどれかがあれば、動物病院に相談してください。
いつからという決まりはありません。離乳が終わって、ふだんのごはんを問題なく食べている子なら、少量からあげられます。すりおろすか、ごく小さく切って、初日はひと口から始めると安心です。体重別の表は成犬の数字なので、子犬にはそのまま当てはまりません。
代表的なのは、ぶどう(レーズンも)とアボカドです。ぶどうは少量でも腎臓を傷めることがあり、絶対にあげないでください。梨・柿・みかんのように、実を少しならあげられる果物でも、皮・芯・種は取り、加工品は避けます。
📚 出典・ 参考
この記事は一般的な情報をまとめたもので、獣医師の診断・治療に代わるものではありません。持病のある子は、あげる前にかかりつけの獣医師に相談してください。
- 文部科学省「日本食品標準成分表」日本なし/生(38 kcal、水分 88.0 g、ソルビトール 1.5 g、リン 11 mg、廃棄率 15%:果皮及び果しん部)
- 同 西洋なし/生(48 kcal、ソルビトール 2.9 g)
- 同 日本なし/缶詰(76 kcal、ヘビーシラップ漬)
- 農研機構「幸水」——果実重は 300 g 前後
- 農研機構「豊水」——果実重は 400 g 程度
- WSAVA「Calorie Ranges for an Average Healthy Adult Dog in Ideal Body Condition」(体重別の1日の必要カロリー)
- AAHA「2021 Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」——おやつとそれ以外は総カロリーの 10% 以下
- WSAVA「Nutritional Assessment Guidelines」(2011)——おやつが総カロリーの 10% 超は栄養リスク要因
- ASPCA「Apple」——りんごは茎・葉・種にシアン化物(梨は同リストに項目なし)
- Merck Veterinary Manual「Cyanide Poisoning in Animals」——青酸の経口致死量は約 2 mg/kg、植物をかみ砕くことが条件
- Bolarinwa et al.(2014)Food Chemistry——種のアミグダリン:西洋なし 1.29 mg/g、りんご 2.96 mg/g
- Merck Veterinary Manual「Principles of Toxicosis Treatment in Animals」——ソルビトールは浸透圧性の下剤
- Lulich et al.(2016)ACVIM 尿石症コンセンサス——シュウ酸カルシウム結石の再発予防は、高水分食で尿を薄くする・尿を酸性にしない・過剰なタンパク質を避ける
- IRIS「Treatment Recommendation for CKD in Dogs」(2026)——食事はリンを抑えた腎臓病の療法食
- Merck Veterinary Manual「Gastrointestinal Obstruction in Small Animals」——閉塞のサイン
- 農林水産省「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」——青酸配糖体を含むバラ科に、ナシは挙がっていない
- 医薬基盤・健康・栄養研究所「アミグダリン」——熟した果肉は心配ない(ナシは挙げていない)
- ペット保険PS保険(獣医師監修)「犬が梨を食べても大丈夫。与え方の注意点を獣医が解説」



